勇者の宿駅(Adventurer Outpost)は7.2.1で導入されたトレーディングゲームのイベント。宿駅(outpost)というのは前線地帯の交易拠点というイメージのようだ。イベントの開催単位としては珍しく、2週間にわたり開催される。
チャプターでドロップする5種類の商品を、FXのように売買して「羽根コイン」というイベント内通貨をどれだけ殖やせるかを競う。羽根コインは5000枚100ジェムで1日100回まで購入も可能。コインは集計に使われるのみであり、ショップでゲーム内のアイテムと交換などはできない。持ち越しもなく、イベント終了と同時に商品ともども消滅する。
ドロップの上限は確認されていない。通常の周回では各商材が1~3個ずつ落ちるが、クイック奇襲では10個落ちることもあり明らかに有利となっている。下表のドロップ量は5日間157周(うちクイック30回)での実測値。初期価格換算で1周あたり1935コイン相当であった。(→クイック中心の別データ)
| 商品 | リスクタイプ | 初期価格 | ドロップ/周 |
|---|---|---|---|
| 鋭刃歯(牙) | 低 | 200 | 0.97 |
| 獣魂玉 | 中 | 250 | 0.92 |
| ルーンのかけら | 低 | 800 | 0.41 |
| 龍血晶 | 高 | 1000 | 0.49 |
| フェニックスの尾羽 | 中 | 3000 | 0.23 |
各商品をタップするとその商品のチャートが表示され、下部の「売却」「購入」ボタンで売買できる。各商品の価格は、参加プレイヤー全員からの売り注文と買い注文の量に応じて15分間隔で変動する。売買には15分に各20回までの制限あり。
日本時間の午後10時から午前1時までは(画面表示にかかわらず)取引できなくなる。休場時間は地域(サーバ)によって異なるようで、日本で休場中の間も相場は動いているようだ。
達成した総資産額の最高値に応じた「資産アチーブメント」と、イベント終了時までの利益に応じた「収益ランキング」により報酬がもらえる。周回による商品入手は収益に含まれるが、ジェムによる購入は含まれないので、ジェムを使ってランキングを狙うなら売買して利鞘を稼ぐ必要がある。
総資産=コイン残高+商品のコイン換算額
合計収益=総資産-もらったor買ったコイン
商品も資産として換算されるので、イベント終了までに全て売却する必要はない。ただし、最低一度は購入か売却をしないとランキング対象外となるので注意。
プレイヤーはまず地域別(欧州・アジア・アメリカ?)に分けられ、その中でさらに一定の人数のグループに割り振られてその中でランキングを共有しているようだ。開催初日の会場オープンもしくはアプリ起動のタイミングにより有利不利が出る可能性があるが未詳。
注文量にかかわらず常に売買が成立するので、商品は実際に取引されているのではなく、擬似的に相場を計算しているだけと思われる。
各取引期間において、総購入数>総売却数の場合、アイテム価格は上昇し、逆の場合は下落します!
とヘルプにあるが、実際の影響はどのぐらいだろうか?
内外のSNSなどに上げられている画像を見る限りでは全員が同じチャートを見ているようなので、市場は全員か、そうでなくともかなり広いプレイヤーに共有されているものと思われる。そうであれば、1人の注文が相場に及ぼす影響は微々たるものであるはず。
他方で、チャートには相場上昇時に「純購入量」、下降時に「純売却量」(net purchases/sales)が表示されており、概ねいつも0~4桁の数値となっている。この数字を見ていると、自分の取引だけで引っ繰り返せる程度に思えるのだが、万人単位のプレイヤーが参加しているとするとあまりにも小さい数字である。特に、横這いの時には0となるのだが、そう頻繁にぴったり差し引き0になるというのはなかなか考えにくい。万などの単位が省略されているか、そもそもでたらめな数字であるかなのであろう。
以上から、各プレイヤーが相場変動に及ぼす影響は微々たるものかそもそも影響していないが、購入・売却量の表示を操作することであたかも大きな影響を与えているかのように演出しているのではないかと考えられる。
同じ商品を皆が買い続ければ相場は上昇し続けるシステムで、売却して利益を確定する必要もないので、一番値上がりしている商品をひたすら買えば「理論上は」全員が儲かるバブル経済になるはずである。実際に/どの程度そうなるかはこのことに気づく人がどれだけいるか(及び、本当に売買が価格に反映されているか)によるが、開催後数日の段階で上がる商品と下がる商品にはっきり分かれる傾向が見られているので概ね妥当しているようだ。各商品のドロップ率の影響を受けるであろうことにも留意。
また、相場は15分おきに変動する擬似的なものであり、プレイヤーはこの単位で売買を繰り返すため、更新のたびに上昇と下降を繰り返すパターンになりやすいようだ。FXのようないつ動くかが全くわからない本物のリアルタイム取引と違い、上下するタイミングが予測しやすくなっている。
よって、単調な上下動を繰り返している銘柄を見つけ、下がったタイミングで買うことで、比較的簡単に利益を上げることができる。パターンにはまらずさらに下がってしまった場合、その先どう相場が動くかの判断材料は全くないので、買った後は結果がどうであれ塩漬けにせず次の更新で売却して別のものを買って回転率を稼いだ方が確実なようだ。ゲームなので手数料もかからない。
以上から、「一番値上がりしている商品を中心に細かく売買を繰り返す」のが最善の戦略と考えられる。牙が一番高騰しているとしたら、資産を全て牙に換えた上で、「牙を全て売る→直近で下落した商品を買う→更新と同時に売る→牙を買い戻す」のようなループを組むと良い。そこまで時間や手間をかけたくない場合は、一番値上がりしている商品をひたすら買うだけでも良さそうだ。
ジェムを割るのであれば、できるだけ序盤のうちに割ってしまいたくさん転がすのが良いだろう。もっとも、直接買うよりまずはエネルギーを買って周回した方が効率は良い。順調に行けばイベント後半は運用益がドロップを大幅に上回るので、周回も頑張るなら序盤のうちである。お金を使う場合は、クイック奇襲の回数が増えるサブスクやバトルパスなどを最優先しよう。
市場メカニズムは複雑に見えるが、イベント外のアイテムが買えるわけでもないだけあって設定は甘く、要領を掴んでしまえば雪だるま式に資産が殖えていく。周回と売買をどれだけこなせるかの勝負になるようだ。他のイベントと比べると、無課金同士でも結果に大きな差がつきやすいかもしれない。
ランキングは200位から神器のかけらが入るなどぐっと良くなるので1つの目標となる。このあたりまでは日常的な周回だけで十分到達可能。アチーブメントは記念アバターがもらえる100万コインが周回と運用を頑張れば届くラインに設定されているように思われる。そこから先は課金領域……ではあるが、資産は指数関数的に殖えるので、早めにそこまで到達すればさらに数倍伸ばすことも可能である(それを見越して追加報酬も渋めだが)。
商品は派手にドロップし、相場の変動にハラハラもさせられるのだが、周回型のイベントとして考えると無課金での目玉報酬は神器のかけら数枚程度、ランキング1位の賞品でもランダム神器のかけら10枚とかなり控え目となっている。報酬よりも演出による楽しみに重きを置いたイベントと言えるかもしれない。
記念フレームは60日のレンタルとなっているので、釣りフェスタと同様に2ヶ月に一度ぐらいの開催となりそうだ。